『薬屋のひとりごと』に登場する馬閃(バセン)は、高順の息子で、壬氏の補佐と護衛を務める若い武官です。壬氏とは幼い頃から縁が深く、武芸に優れる一方、真面目すぎて融通が利かない面もあります。
初登場時には壬氏の稽古相手だった馬閃。その後は猫猫の調査に同行し、壬氏を危険から守る任務も担うようになります。人物像を知る手がかりは、強さだけではなく、守る相手への責任感と、人付き合いで見せる不器用さにあります。
馬閃は何者?高順の息子で壬氏の補佐兼護衛
アニメ公式のキャラクター紹介では、馬閃は壬氏の補佐兼護衛を務め、武芸の実力を周囲から認められている人物です。父の高順が気をもむほど生真面目で、言われたことを器用にかわすより、正面から受け止めようとする性格をしています。
| 項目 | 馬閃のプロフィール |
|---|---|
| 名前・読み | 馬閃(バセン) |
| 立場 | 壬氏の補佐・護衛を担当する武官 |
| 家族 | 父は高順。母は壬氏の乳母を務めた人物 |
| 壬氏との関係 | 乳兄弟であり、主従としても結ばれている |
| 人物像 | 武芸に優れ、まっすぐで真面目。融通が利かない一面もある |
| アニメの声優 | 橘龍丸 |
父・高順とは似ているようで違う
高順は壬氏のそばで人や仕事を取りまとめ、細やかな気配りをする人物です。息子の馬閃も壬氏に仕えていますが、直接護衛に当たり、危険のある現場へ同行する役目が目立ちます。
猫猫は第16話「鉛」で馬閃の顔を見て、高順との似通った顔立ちに気づきます。外見から親子のつながりが見えてくる一方、物事への対処は対照的。高順が周囲を見て調整するのに対し、馬閃は目の前の任務に力を注ぐタイプです。
同じ壬氏を支える親子でも、父は調整役、息子は実働の護衛という違いがあります。高順が馬閃を案じるのも、息子の実力を認めつつ、その一直線な性格を知っているからと考えられます。
壬氏とは乳兄弟で、古くからの付き合い
馬閃の母親は壬氏の乳母を務めたため、馬閃と壬氏は乳兄弟に当たります。単に宮廷で上司と部下になったわけではなく、幼い頃から接点のある間柄です。
ただし、近しい関係だからといって、公の場での身分差が消えるわけではありません。馬閃は壬氏を守る任務を負い、その安全を優先して行動します。親しさと職務上の緊張が同時に存在することが、二人の関係の特徴です。
馬閃は強い?壬氏との稽古に見える実力と弱さ
馬閃は腕の立つ武官ですが、「力が強いから誰にも負けない」という人物ではありません。公式設定で武芸の才能が示される一方、実際の鍛錬では自分の未熟さを認める場面もあります。
初登場は第5話「暗躍」|壬氏と木刀で手合わせ
馬閃がアニメに初めて登場するのは、第1期第5話「暗躍」です。壬氏の木刀での鍛錬相手を務め、打ち合いでは壬氏に軍配が上がります。馬閃自身も、力に任せる剣術だけではかなわないことを認めています。
ここで描かれているのは、単なる勝敗以上の関係です。馬閃は強い武官でありながら、守る相手の技量を理解し、自分の不足を意識しています。壬氏との距離が近いからこそ稽古相手を務められますが、それが護衛としての完成を意味するわけではありません。

馬閃の武器は腕力だけではない
馬閃には優れた身体能力があり、危険に対する直感や、即座に動く力も備わっています。一方で、判断の速さが常に最良の結果につながるとは限りません。守るべき相手を前にしたとき、状況をどこまで見極められるかが彼の課題になります。
力強さと未完成な判断力を同時に持つからこそ、馬閃は完成された達人というより、任務の中でその難しさに直面する若い武官として描かれています。
猫猫との関係は?無愛想でも仕事では協力する
馬閃は、猫猫に対して最初から親しげに接する人物ではありません。けれども、壬氏から任された調査では、猫猫の知識を必要とする場面に同行しています。二人は考え方こそ違っていても、同じ仕事のために行動できる関係です。
第15話「鱠」で猫猫の調査に同行
第15話「鱠」では、河豚を食べて倒れたとされる官僚の謎を調べるため、猫猫と馬閃が一緒に官僚の家を訪れます。高順から話を聞いた猫猫が食材や症状の手がかりを追い、馬閃は無愛想な若い武官として付き添います。
事件の原因を探るのは薬や毒の知識を持つ猫猫。馬閃の仕事は、その調査へ同行し、現場で支えることです。得意分野はまったく違いますが、どちらかが相手の専門性を代わりに発揮するわけではありません。
第3期では猫猫への接し方にも変化が
第3期の先行上映会では、馬閃役の橘龍丸さんが、猫猫との関係を演じる際に捉え直したことを語っています。それまで表現してきた猫猫への嫌悪感を強く出すのではなく、演出上の指示を受けて、よりフラットな距離感へ調整したという内容です。
これは作中で突然二人が親友になったという意味ではありません。それぞれの考え方を持ちながら、壬氏を支えるために行動を共にする関係として見ると、馬閃のぶっきらぼうさだけに注目するより、その役割が伝わりやすくなります。
橘さんが役作りを語ったTOHO animationの公式ポッドキャスト切り抜きも公開されています。演じる側の言葉に触れると、馬閃の実直さをまた違った角度から捉えられます。
第2期の馬閃|壬氏を守るための判断が問われた場面
第2期では、馬閃の仕事が宮廷の外へ広がります。第35話「狩り」で壬氏、高順、猫猫と子北州へ向かい、第36話「華瑞月」では、行方が分からなくなった壬氏の衣が岩場で見つかったとの伝令を受けます。そばに付き添うだけでは済まない緊張が、護衛という立場を際立たせます。
ここからは第2期第47話「子の一族」と第3期第54話「紙の村」までの重要なネタバレを含みます。
第47話「子の一族」で楼蘭を撃った理由
子の一族との戦いの終盤、楼蘭は壬氏の顔を傷つけます。そこで馬閃は、守るべき主が傷つけられたことに反応し、楼蘭へ向けて銃を撃ちました。楼蘭は銃撃を受け、砦から落ちていきます。
この行動には、護衛としての素早さと、壬氏を守ろうとする強い意識が表れています。ただし、武器を使った結果は決して軽くありません。危険に即応できる強さと、判断の結果が誰かの運命にかかわる重さは別の問題です。
第5話では稽古で壬氏に及ばなかった馬閃が、第47話では壬氏への危害を前に自ら武器を使う。二つの場面を比べると、彼の役割が「武芸を磨く青年」から「自分の判断で護衛の責任を負う武官」へ広がっていることが分かります。一方で、楼蘭のその後の生死を、馬閃の銃撃という一場面だけで断定することはできません。

第3期の馬閃はどうなった?第54話で壬氏と立場を逆転
第3期では、馬閃の武官らしい頼もしさに加え、人との距離の取り方が下手な一面もはっきり描かれます。第51話の緑青館と第54話の旅は、別々の出来事ですが、どちらも彼の真面目さが思いがけない形で表れる場面です。
第51話「麺麭がなければ」では白鈴に動揺
第51話では、猫猫が探していた図説を馬閃が緑青館へ届けます。すると、高級妓女の白鈴に背中を撫でられ、顔を赤くして逃げ出してしまいます。
剣を持つ相手には向き合えても、突然距離を詰めてくる相手にはどう振る舞えばいいのか分からない。白鈴とのやり取りは、馬閃が不愛想なのは人を見下しているからではなく、予想外の接触への対応が得意ではないことをうかがわせます。公式設定にある「真面目すぎて融通が利かない」という性格が、日常の場面にも現れているのです。
第54話「紙の村」では馬閃が主人役に
第54話では、後宮医官の虞淵(やぶ医者)の里帰りに、猫猫、馬閃、変装した壬氏が同行します。旅の目的地は王都から離れた西の地。ここで二人は、表向きの主従を入れ替え、馬閃が主人、壬氏が付き人という役回りを取ります。
普段なら馬閃が一歩引き、壬氏の身辺を守る立場です。ところが今回は、身分を隠した壬氏の代わりに馬閃が表へ出ます。主従を逆転させること自体が、壬氏の正体を目立たせないための手立てになっているのです。
第5話から続く二人の近さを思えば、馬閃を主人役に置くのは意外な配置です。しかし、壬氏の事情を知り、そばで行動できる馬閃だからこそ担える役回りでもあります。相手を守るために、今度は自分が人前へ立たなければならないところに、従来の護衛とは違う難しさがあります。
道中では猫の毛毛(マオマオ)にも落ち着かない様子を見せます。ただし、それだけで「猫全般が嫌い」と決めつけるのは早いでしょう。白鈴への反応とあわせ、馬閃には近づいてくる相手にとっさに対応しにくい面がある、と見るのが自然です。
第54話時点の馬閃の立場と生死
第54話までのアニメで、馬閃は壬氏たちとの旅に同行しています。この時点で馬閃の死亡が描かれたわけではなく、壬氏の近くで任務を続ける武官という立場も変わっていません。 一方、西の地での出来事がどう決着するかを、現在の段階で先取りして断定することもできません。
壬氏自身の立場や第3期の物語のつながりを整理するには、『薬屋のひとりごと』第3期の放送日程と第2期からのつながりも参考になります。
馬閃の魅力は、まっすぐさが長所にも弱点にもなること
馬閃は、高順譲りの顔立ちと壬氏への深い縁を持ちながら、父と同じようには立ち回れない青年です。武芸の腕や行動力は頼もしいものの、身近な相手を守ろうとすると判断が先走ることもあり、人付き合いでは予想外の反応を見せます。
第47話の緊迫した判断と、第54話の主人役は、違う形で同じ問いを投げかけています。壬氏を守るには、強く動くだけでいいのか。それとも、状況に合わせて自分の立ち位置まで変える必要があるのか。馬閃の人物像は、その二つの間で揺れるところに奥行きがあります。


コメント